それぞれの数値の意味
倍率は「望遠鏡の焦点距離 ÷ アイピースの焦点距離」で決まります。倍率はアイピースを替えれば簡単に上げられますが、上げるほど像は暗く・揺らぎやすくなります。一般に実用上限は口径mmの約2倍(例: 口径60mmなら120倍程度)とされ、これを超える「過剰倍率」では大きく見えてもぼやけるだけです。倍率の高さは望遠鏡の性能ではなく、性能を決めるのは口径です。
実視界は、覗いたときに実際に見える空の広さです。月の視直径は約0.5度なので、実視界が0.5度を切ると月が視野に収まりきりません。プレアデス星団(すばる)のような広がった対象には1.5度以上の実視界が欲しいところです。
射出瞳径は、アイピースから出てくる光の束の太さで「口径 ÷ 倍率」。暗所で開いた人間の瞳孔(最大約7mm)より大きい光は目に入りきらず無駄になり、逆に0.5mmを切ると視野が暗くゴミや浮遊物が目立ちます。星雲星団を見るなら2〜5mm、惑星なら0.5〜1mm程度が目安です。
極限等級はその口径で見える最も暗い星の等級(理論値)、分解能は二重星をどこまで分離できるかの理論限界です。どちらも空の暗さとシーイングに大きく左右されます。
よくある質問
倍率は高いほどよく見えますか?
いいえ。倍率を上げると像は暗くなり、大気の揺らぎも拡大されます。口径6cmの望遠鏡に「200倍」を謳う付属アイピースの組み合わせは典型的な過剰倍率で、実際には口径mmの2倍(6cmなら120倍)あたりが限界です。月や惑星の観察でも、まず低倍率で導入してから徐々に上げるのが基本です。
見かけ視界がわからないときは?
アイピースの鏡筒やメーカー仕様表に「AFOV」「見掛視界」として記載されています。不明な場合、望遠鏡付属の標準的なアイピース(ケルネル式・プローセル式)はおおむね40〜52度なので、50で計算すれば大きくは外れません。
計算どおりに見えないのですが
理論値は「光学的な上限」です。都市部の光害、大気の揺らぎ(シーイング)、鏡筒内の温度順応不足、光軸ズレなどで実際の見え方は大きく変わります。特に極限等級は暗い空を前提とした値で、市街地では2〜4等ほど浅くなります。